今年の2月に突然メンバーチェンジが発表された。今回脱退するのは和泉さんと本田さん。そして、加入するのは難波正司さんと宮崎隆睦さん。ごく初期の頃を除けば、2人同時の交代劇は初めてだ。残念がっている人に対しては「新しいサウンドに期待しましょうよ」と言っているくせに、自分自身はというと、やはり期待以上に、不安も大きい。
伊東さん→本田さんの時と同様に、今回もFAREWELL AND WELCOME LIVE（歓送迎会）が行われることになった。さすがにチケット争奪戦の競争率が高かったが、なんとか手に入れることができ、六本木PIT-INNの1日目に足を運んだ。
安藤まさひろ(G)、和泉宏隆(P,Key)、難波正司(Key)、則竹裕之(Dr)、須藤満(B)、本田雅人(Sax,EWI)、宮崎隆睦(Sax,EWI)
第一部 FAREWELLの部
01 MEGALITH
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02 ROMANTIC CITY
03 PLAY FOR YOU
---MC
04 宝島
05 BAD MOON
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06 OMENS OF LOVE
まずは、脱退する2人を含む5人による、FAREWELLの部。しょっぱなに演奏されたのは、このメンバーを象徴する曲「MEGALITH」だ。本田さんが加入した時のことを思い出さずにはいられない。『NEW-S』を聞いたときのあの衝撃。そして、それ以降、ライブでの定番の曲の一つだった。それがもう聞けなくなってしまうのか、それとも、本田さんのソロ活動でも披露してくれるのだろうか、そんな事を考えながら聞いていた。
今回、和泉さんはアコースティックピアノでの演奏であった。六本木PIT-INNで何度もライブをやっているにも関わらず、実は今回が初めてだったそうだ。「これからはアコースティックピアノ一筋で生きていくよ」、そんな決意の表れだろう。ＭＣ「ステージ・ショッピング(笑)」でも、電子ピアノを売り払うと宣伝していた。初日の演奏は冴えないことが多かった和泉さん（私見）だが、今回は気合いの入った演奏を魅せてくれた。
「ROMANTIC CITY」に続いて、本田さんの叙情的な間奏ののちに「PLAY FOR YOU」。本田さんのバラードは加入当時に比べ、ずいぶんと良くなったと思う。息づかいに、うまく感情を込めているように感じた。誰か好きな人ができたのかな、とか、逆に失恋でもしたんじゃないか、などと疑うほどだ。いつも以上の素晴らしい演奏を見せてくれていたが、やはり緊張していたらしい。曰く「こっちの手（左手）とこっちの足（右足）が固まっちゃって（苦笑）」。
「BAD MOON」では途中で、B、Dr、Saxの三人のバトルが繰り広げられた。これがすごいのなんの。本田さんのフレーズを、則竹さん、須藤さんがうまく受け、逆に煽っていく。そしてそれに本田さんが応える。そのやり取りが激しく、そして面白い。オフでのそれぞれのソロ活動の成果を垣間見た感じがした。この曲が終わった後の須藤さんのコメント「もう、いつ終わるのかと・・・(^^;」。
あっと言う間に第一部が終わり、約15〜20分の休憩。そして新メンバー2人を含む5人があらわれ、第二部 WELCOMEの部が始まった。
第二部 WELCOMEの部
07 THE SEVEN WONDERS
08 SALLING THE OCEAN
---MC
09 ONE STEP BEYOND
10 EXPLORER
４曲全て、NEW ALBUM 『GRAVITY』からの新曲だ。作曲は、7,8曲目が安藤さん、9曲目が則竹さん、10曲目が須藤さん。
最初の曲「THE SEVEN WONDERS（七不思議）」は、イントロから「いかにも難波さんらしい」アレンジの曲だ。KORE-chanzのALBUM『音楽は世界だ』をつい思い出してしまった。難波さんをキーボード奏者としてだけではなく、プロデューサーとしても迎えたという意味がよく分かった。アレンジャーとして、和泉さん、本田さんの穴を充分に埋めてくれる人だと感じた。
さて気になるのが、初めてお目にかかる宮崎さん。緊張しているのか、体が硬直しているように見えた。思わず「がんばれ」と応援したくなってしまうのはなぜだろう(笑)。サックスの音は本田さんよりも伊東さんに近いタイプだ。どこか安心感がある。ただ、音が前に出てこないが気になった。他のメンバーの音に埋もれてしまっているような感じだった。EWIの時は充分に張り合っていたので、たぶんサックスのマイクの調子が悪かったのではないかと推測している。
曲自体はこれまでの路線を継承しつつも、難波さんのアレンジによって雰囲気が変わってきている。でもやはり、スクエアサウンドはスクエアサウンド。やはり自分には一番しっくり来るサウンドだ。
難波さんの見どころはオルガンだ。『ANDY'S』でもすでに聞いていたのだが、生の演奏はやっぱり一味違う。和泉さんがあまり得意としていなかっただけに、余計にそれが目立った感じだ。今後、スクエアサウンドにもっともっとオルガンサウンドが登場してくるのだろう。楽しみだ。
第三部 FAREWELL AND WELCOMEの部
---MC
11 MISS YOU
12 JUBILEE
13 TRUTH
そしてそのまま第三部に突入。まずは和泉さんが再登場。４０になったので、公約通り、トリオの活動をはじめる、と公表。今後のライブの予定も話していた。11曲目はその和泉さんのアコースティックピアノをフィーチャーした「MISS YOU」。難波さんのオルガンも絡んできて、深みのある演奏となった。
そして本田さんが再登場。７人そろっての「JUBILEE」。「大きい街（by須藤さん）」に勝るとも劣らない、サックスバトルの曲として定着しつつある曲だ。もちろんここで本田さん、宮崎さんのサックスが火を吹く。本田さんと比べてしまうと、宮崎さんの経験不足は否めない。が、それを差し引けば、充分本田さんとやり合っていた。本田さんの常に攻める演奏に対して、宮崎さんの攻守のバランスのとれた演奏が印象に残った。
最後はとうとう出た「TRUTH」。本田さんの白いEWIと宮崎さんのベネトン仕様のEWIがステージで映えていた。EWIの方が本田さんに対して宮崎さんが善戦していたような気がする。
観客が盛り上がってきたところで、本編終了。もちろん、アンコールの拍手が鳴り止まない。しかし、だんだんテンポが早くなっていくのはなぜ？(笑) しばらくして脱退する2人を含む5人が再登場。
Enc1-1 FORGOTTEN SAGA
Enc1-2 JAPANESE SOUL BROTHERS
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Enc2-1 KNIGHT'S SONG
Enc2-2 LITTLE MERMAID
アンコール１曲目は和泉さんのバラードの名曲、そして独立する契機となったソロアルバムの代表曲でもある「FORGOTTEN SAGA」。和泉さんのピアノ、本田さんのサックスがフィーチャーされ、その曲調も手伝って、二人の脱退を惜しむ思いが強くなった。和泉さんのピアノの音の調子がちょっと悪かったけれど、まあ許しましょう。
そして、ふたたび新メンバー2人を迎え入れて、節目には必ず演奏される「J.S.B.」！ ただし、アレンジ（曲の構成）がいつもとは違っていた。おそらく、NEW ALBUMの初回限定特典盤のバージョンなのだろう。意表をつかれつつも、やはり激しいバトルに魅せられた。まずは須藤さんのソロ。客席に乱入したと思いきや、突然プラグが抜けて音が切れた。(爆笑) それでも懲りずにプラグを差し込み直して再突入。そして立ち見客の前で椅子の上にたってのパフォーマンス。次は則竹さん（だったかな）。最近のドラムソロでは、昔あった迷いがほとんど見られない。しかも、フレーズが豊かになってきている。セッションを重ねてきている成果だろうか。最後は本田さん、宮崎さん、和泉さん、難波さん、安藤さんの5人による大バトル大会！ 前の人のフレーズをどう受けるかが、見ていて非常に面白い。次第にフレーズが短くなり、スリリングになっていく。
曲が終わって、メンバーが退場したが、再びアンコールの手拍子。そしてまず須藤さんがあらわれ、メンバーを一人一人呼び出していった。最後に呼び出された二人は本田さんと和泉さん。ああ、本当にこれで最後なんだな、と改めて感慨深くなる。
そして演奏されたのは「難波さんとT-SQUAREの出会いの曲となった」（by 須藤さん）「KNIGHT'S SONG」。そして、ライブハウスではほとんど恒例となっている「LITTLE MERMAID」で締めくくった。これだけノリノリの曲を続けられたら、観客はヒートアップしっ放し。しかし、演奏が終わった後に７人全員がステージ中央に集まり全員で一礼。本当の終わりを告げられ、観客は次のアンコールを諦め、興奮冷めやらぬまま帰途についた。