零時館
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「死の医学」への日記

柳田邦男 著
新町文庫、629円、ISBN4-10-124915、1999年刊

これは、毎日新聞への同名の連載をまとめ、大幅に加筆されたもの。ちょうど、私が北海道から京都に移る頃に、この連載(すでに終盤だったが)に出会い、この連載が読みたいがために毎日新聞を購読し始めた。見事に毎日新聞の術中にはまったわけだ (笑) 。以来、ずっと毎日新聞だが、この連載に匹敵するものは残念ながらない。

ここでは主にガンで助からない人たちを対象にしている。最後の仕事をやり遂げる目標を持ったり、最後まで主婦として家を守ったり、それぞれの生き方が描かれ、それを助ける医療の現場を評価している。そのキーワードは「死の医学」、「緩和ケア」、「サイコオンコロジー(精神腫瘍学)」、「在宅ケア」、そして「クオリティー・オブ・ライフ (QOL) 」。

この連載がされている時は、ドキュメンタリーとしてまとめられるほどだから、当然まだこれらの観念が一般(医療サイド、患者サイドともに)には普及していない。しかし、このシリーズの前作『「死の医学」への序章』に比べると、格段に進歩しているのがわかる。さらにこの5年間でいったいどのくらいすすんでいるのか知りたいが、あまり本や TV で扱われていないのが残念。あまり営業的に見込めないからだろうか。同氏の次回作があるかどうかわからないが、それに期待したい。それとともに、この作品の映像化・漫画化もできればもっと普及するのではないかと思うのだが。

(2000/10/28 読了)

E-mail : reijikan-kanshu@hotmail.co.jp
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