快作、という言葉が一番合うんじゃないだろうか。快活な登場人物が多いせいかじめじめした感じがないし、また作品自体の切れ味も鋭くて気持ちがいい。
今回は、なぜか犯人は分かってしまった。前半でヤマカンで目星を付けていたら、どんどん犯人っぽく見えてきて、案の定そうだった、という感じ。なんとなくトリックも分かったし。しかし、トリックはもう一つあった。ここがクリスティーのすごいところ。これにはまんまと騙された。
終盤の恋愛の描写もめっちゃおもろかった。その部分を飲食店で読んでたので、笑い声を押し殺すのが大変だった。
ちょっと気になったのは、翻訳のミス。たとえば「警視庁の探偵」。「探偵」の部分が「detective」とあったんだろうけど、普通は「刑事」と訳すと思う。それから「車をパークした」って…、訳になってないぞ。「結着」は正しくは「決着」だし。こういうのは編集部に言うべきか？