先日、初めてこの本の元になっている「小説現代」誌のコーナーを見た。意外と量が多いことに驚く。まあ、考えてみれば、約1年で文庫本に編集されるわけだから、当たり前の量なんだけれど。応募作は当然この何倍もあるわけで、毎月審査している阿刀田さん（前任は星新一さん）の苦労がしのばれる。
今回は、あとがきで落選した作品が載っていた。何が足りないのかを説明するためなんだけれど、確かに素人の私が読んでみても物足りないと感じる。しかし、書いた人は精一杯だったんだろうな、とも思った。書いている人は客観的に自分の作品を評価しにくいために、推敲も不十分なままの作品でも応募してしまうんだろう。これは、でも、実は論文にもいえることだったりする。客観的な目、これを持てるか否かがいい文章を書く秘訣だろう。