松山に Village Vanguard という本屋さんがある。この本屋さんは、名古屋を中心に全国展開しているのでご存知の方も多いと思うが、本だけでなくあやしいインテリア雑貨が数多く並べてあって、独特の雰囲気を醸し出している。本の種類も趣味が偏っていて、デザインの本や写真雑誌、絵本などが多く、普段そういう本に興味を持たない私でも、タイトルや表紙を見ているだけで楽しくなる。
この本はその Village Vanguard で見つけた。このタイトル、ノスタルジックなデザイン、薄いけどしっかりとした装丁、そして名前は聞いたことはあるけど読んだことはない萩原朔太郎に惹かれて、思わず手にとった。
読み始めると、古い文体ながら意外と読みやすい。1ページあたりの文字数が少ないためだろう。朗読するようにゆっくり読んでみると、その文章の薫りが立ち込めてくるようで、とても満足感がある。ほとんどのページに幻想的な画（版画らしい）が配置され、文章と一体となってとても味わいぶかいものになっている。
まさに大人のための絵本だ。「大人でも楽しめる」絵本はたくさんあるが、「大人のための」絵本は少ない。私ははじめて出会った。こういう本をもっと読みたいと思ったが、はたしてどこで売っているだろう。また Village Vanguard に行って探してみようか。