どうも好きな作品は超短編が多い。短いほど切れ味が鋭く感じてしまう。長いとオチの予測がつきやすくなってしまうからだろうか。あるいは、徹底的に無駄を削ぎ落として、中身が濃くなっているからだろうか。
「静かにしてくれ！」は星新一のある作品を思い出すようなネタだった。現代の風潮をうまく批判している。最後のオチがとてもよかった。なかなかこううまくおとせない。
「或る会話」は不思議な感覚にとらわれた。単純なナンセンス物なんだけど、シュール。たぶん文体がですます体であるせいもあるだろう。フランクな感じの会話だったらシュールな感じは出てこなかったかも。
「伊東聡後援会ニュース」はうまいっ！いままであるようでなかったパスティーシュ。でも、作者はこの作品が採用されるかどうかは賭けだっただろうなぁ。
「往復書簡」はショートショートにしては珍しく、とてもじーんと来た。あぁ、こういうショートショートもあるんだ、と思った。NHK-FM のクロスオーバー・イレブンのスクリプト（曲と曲の間のお話）を連想する。雰囲気がとても似ている。