クリスティーの作品にしては珍しい超長編。しかし、それほど長さを感じなかった。
その理由は、おそらく風光明媚な舞台に魅せられたことにあるだろう。自分も旅行している気分になる。現代でいうところの旅情ミステリーの走りではないだろうか。おそらく、この本を手にとってナイルに行った人も少なくないだろう（ヨーロッパの人ならば）。クリスティーの作品はこういった旅行モノもちょくちょくあって楽しい。
謎解きはだいたい予測どおりだった。ミステリーをたくさん読んでいる人には分かり易かったかもしれない。
ただ、登場人物の多さには閉口した。覚えるのだけで苦労した。外国人の名前はなじみがないのでなおさらだ。これが原因で、一時海外ミステリーを読みたいとは思わなくなったことがある。その症状がぶり返しそうになった。