ポアロ物にしては珍しい冒険サスペンス。巨大な悪の組織に立ち向かい、命を狙われる、なんてポアロにはあまり似合わないシチュエーションだ。トミーとタペンスのほうが似合っている。しかし、これは後の作品を知っているからこその感想。これは初期の作品なので、おそらく、まだポアロのキャラクターが定まっていなかったんだろう。
もう 1 つ珍しいな、と思ったのが、物語の構成だ。作品全体の時間軸がとても長く、その間に起こったビッグ 4 にまつわる事件をピックアップしているような形になっている。それぞれの事件に起承転結がある。もしかしたら、雑誌か何かに連載されていて、読者をひきつけるために、そういう構成にしたんじゃないだろうか。ちょうど現在のマンガ（『MONSTER』とか）のように。
追記：大正の関東大震災の記述もある。やはり当時の大事件のひとつだったようだ。