降霊会なんて、いかのもクリスティーらしい。こういうオカルトめいたものを扱うのもクリスティーの特徴だろう。しかも、今回は現実的な話だったが、短編では本当にオカルトものになっていることもある。つねにオカルトを否定しているわけではないのが面白い。
だから、これまでの作品にも何度か降霊会は出てきていた。しかし、あまりその場面を覚えていなかったのだが、今回読んでみて、なんだ、コックリさんみたいなのの親戚なのか、ということがやっと分かった。洋の東西を問わずこういうことが行われていたというのは興味深い。いや、もしかしたら、どっちかが本家で、どっちかが輸入されたものなのかもしれない。
今回は、大きな謎と小さな謎がうまく取り混ぜてあって、読者を惑わせていた。この構造は森博嗣の作品にもよく見られる（森博嗣の場合は読者を惑わすためではないのだが）。大きな謎についてはほぼ予想通りだったが、小さな謎については全く予想外だった。ミステリーファンを飽きさせないうまい工夫だと思う。
ところで、今回もまた若くて活発な女性が登場する。クリスティー作品にはよく登場するキャラクターだ。クリスティーの理想の女性像なのだろうか。それとも、女性が権利を主張し始めたこの時代の要請だったのだろうか。