零時館
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エディプスの恋人

筒井康隆 著
新潮文庫、438円、ISBN4-10-117113-0、1981年

 前 2 作を読んできて、この作品にたどりつくと、どうしても疑問が浮かんでくる。「あのあと、どうなったの?」と。ずっとその疑問を頭の片隅に抱えながら読むことになり、ちょっとしたストレスを感じた。それが解決されたか、されなかったかはネタバレになりそうなので書かないことにする。

 前々作が純文学、前作が SF、と感じてきたが、今回はミステリーだと感じた。一つの大きな謎を七瀬が追いかけ、最後に解決される。その技法はミステリーそのもの。結局この 3 部作は、すべて違う技法で書かれた作品で、それぞれ全く違う趣になっている。一人の主人公で、こういうことをやるのは結構珍しい。

 最後の解説がまた良い。分析の切れ味が鋭く、これぞ解説、という感じ。解説という名の、感想文とかエッセイとか身内話とかが横行している中、こういうちゃんとした解説は絶滅危惧種なのかもしれない。

(2004/11/04 読了)

E-mail : reijikan-kanshu@hotmail.co.jp
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