地震を生き延びるための本はよく目にするけど、この本のように生き延びたあとのことに焦点を当てた本は、私は知らない。いろいろと報道はされているものの、問題点を指摘するだけで終わってしまっている。それで興味をひいて思わず手にとってしまった。
この本を読んで、分譲マンションは買いたくなくなった。分譲マンションの場合、修理するにしろ、再建するにしろ、ほかの入居者と協議しなければいけない。運命共同体なわけだ。正直言って、こんな七面倒くさいことになるぐらいなら、賃貸マンションの方がよっぽど気楽だ（それでも借家権などの問題はあるが、こちらの方はシンプル）。
住宅再建に税金から援助がないことに高嶋さんは不満らしく、何度も何度もこの問題に触れている。持ち家をもっていない身としては、持ち家が被害にあったからといって、税金が使われてしまうのは、正直なところ、面白くない。持ち家を持たない人にも同等の援助をしてくれるのならば別だけど。やはり互助会、共済のような、家を持っている人が対象の保険のようなものを作っていくべきだと思う（ただし、これにも問題が多いらしいが）。いずれにしても、まだまだ議論が足りないようだ。そのわりに、あまりこの問題がメディアに上ることは少ない気がする。
全体を通してちょっと残念だったのは、なぜか住宅問題の話が大半を占めてしまっていることだった。たしかに、大きな問題ではあるけれど、ほかの問題も同じぐらい重要なはず。もうちょっと紙幅を割いてほしかった。