漫画の『銃夢』（木城ゆきと著）を読んで以来、ずっと軌道エレベーターのことに興味がある。このアイデアを初めて知ったときは本当に驚いた。
軌道エレベーターが出てくる SF といえば、というときに必ず紹介されるのが、この作品。しかし、アーサー・C・クラークという、あまりに定番なイメージが邪魔をして、なんとなく手を出しづらかった（天邪鬼な性格だ）。
にもかかわらず、新装版として今年刊行されたのを書店で見てなぜか即買い。新装版、というだけで手を出すなんて、まんまとハヤカワの術中にはまってしまったわけだ。
実際に読んでみたら、やはり多くの人が評価するだけあって、面白い。特に前半の宗教（仏教？）との絡みに興味がひかれた。SF ではあまりキリスト教以外の宗教にお目にかかったことがなかったせいかもしれない。前半を読んでいるときは、もしかすると、こに主題があるのかな、と思わせるほどの内容だった。しかし、中盤であっけなく違う方に話が移ってしまったので、ちょっと欲求不満。
ただ、最後のエピローグは、前半部分も含めてうまくまとめたな、と思った。