さすがジョージ・R・R・マーティン。長編小説にもかかわらず、中身が濃いし、話の運び方も普通じゃない。
「冬がやってくる」。このスターク家の銘言が今回のテーマだったよう。これまで平和だった王国が、徐々にしかし確実に厳しい状況に陥っていく。まさに冬がやってくるように。
まだ序章にすぎないことは読み終わってみて分かる。これから大きく展開される物語の背景が 5 冊にも渡って説明されていることになる。それだけ長いにもかかわらず、無駄な部分が全く見当たらない。そこがすごい。
各節ごとにいろんな登場人物の視点で語られる。主人公のいない物語。群像劇というべきか。そのうちの一人はこの舞台から消えてしまった。マーティンは結構無情だ。
それから、この物語の登場人物に、英雄的な完璧な人はいないのも特徴的だ。どの人物も多かれ少なかれ共感を呼べない部分が存在する。それが非常に人間くさくて、逆に好感が持てる。