通常、謎解き型のミステリーでは、謎を解く探偵役がいて、その人がクローズアップされている。森さんの作品では、これまでは探偵役がいたけれど、あまりクローズアップされて描写されていなかった。この時点ですでに典型から外れているわけだけど、このシリーズでは、それに加えて、探偵役がいなくなってしまっている。
しかし、それにもかかわらず、謎は解けている。共同作業で徐々に謎が解けていっている。その過程が面白い。おそらく、こういう形でまとめるのは難しいことだろうと思う。少なくとも、探偵役を立ててしまってその人に謎解きを任せてしまったほうが、書くほうとしては楽だろう。
ところで気になるのは、この2作では犯人とされた人がある人の関係者であること（イナイ×イナイは、関係者ではなかったと思うのだけれど）。これは今後につながっていくのだろうか。
それから、どうも雰囲気的に「ゾラ・一撃・さよなら」につながっていきそうな気もする。舞台といい、金持ちが良く出てくることといい、共通点が多いように思う。時代があっているのかどうかは不明だけれど。
この作品って、あの作品とつながっているんだっけ？また読み直さないと……。