著者は毎日新聞で理系白書という連載を担当している記者。理系科学者を応援してくれている方なんだけど、本人は実は文系。だから、タイトルをみて内容を読むと違和感があるかもしれない。もっとも、このタイトルは著者がつけたわけではなく、出版局がタイトルをつけたらしいのだけれど。
文系の記者さんとはいえ、それでもやはり理系科学者を追い続けてきただけあって、理系人間の考え方を良くわかっていらっしゃる。そういう意味では、タイトルもまるきり的外れなわけではないように思う。
もともと新聞の「発信箱」という連載コラムがこの本の母体になっている。そのため、一つ一つの文章が短い。そのなかで、言いたいことをぎゅっと凝縮してきちんと伝えることができるというのは、さすがに新聞記者だと思う。比喩的な意味で、行間もうまく使っている。このあたりはなかなかまねができない。ある意味職人芸だろう。
理系科学者を応援してくれているとはいえ、新聞記者だけにシビアな視点も健在。好意的なだけに、科学者のほうもこういった視点があることをきちんと意識したほうが良いだろう。