零時館
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眉村卓 著
創元SF文庫
以前、小川一水さんの『復活の地』を読んだ時、どこかに書かれた感想で、この『司政官』シリーズとの共通点が挙げられていた。もともと眉村卓さんの作品は好きでジュブナイルやショートショートを中心にいくつか呼んでいたが、『司政官』は全く知らなかった。それでずっと気になっていた。
その『司政官』の短編集が復刊するというので、購入した。
眉村さんにしては珍しく、エリートに焦点を当てている。眉村さんはどちらかというと庶民派というか、普通の人々の目線で物語を作ることが多いように思う。このシリーズは、一見、それらとは全く違うように思えるが、しかし描かれている内容は眉村節で、エリートならではの葛藤や悲哀が描かれている。
さらに興味深いのは、この司政制度の移り変わりもこの一連のシリーズのテーマとなっているところ。そこに着目した作品というのは、ありそうで、意外と思いつかない。
このあと『消滅の光輪』『引き潮のとき』と長編が残っている。早く読んで、全体像を知りたい。
(2010/09/22 読了)
E-mail : reijikan-kanshu@hotmail.co.jp
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