零時館
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サラ・パレツキー 著、山本やよい 訳
早川書房
アメリカは、民主主義の典型のように思っていた。しかし、この本を読むとそうではないことを思い知らされる。まあ、純粋な○○主義を実践しているところなんて、考えてみたらないのは当たり前なのだけれど。それでも、アメリカは理想に近いと思いがちだった。
すでにサラ・パレツキーさんの過去の作品では、貧困の問題、企業のモラルの問題、なかなか撤廃できていない差別の問題、等が取り上げられていて、理想には程遠いことはなんとなく感じてはいた。しかし、この本を読むと、それがよりなまなましく感じられた。
ただ、気をつけなければいけないのは、これは一方的な方向から見たものであるということだ。私はサラ・パレツキーさんの作品が好きなので、かなり同意できる部分がある。しかし、そうではない部分も少なくない。ちょっと論理的にどうかな、と思う部分があるためだ。
かといって、アメリカの社会問題にはそれほど関心が高いわけではないので、それを検証するために、違う立場の人の著作を読みたいとまでは思わない。しかし、おそらく反論も多いだろうな、と想像することは必要だと思う。
それにしても、愛国者法、かなり危ういな。私も時々アメリカに行くけれど、この本を読んだら、気楽にネットができなくなった。
(2010/11/17 読了)
E-mail : reijikan-kanshu@hotmail.co.jp
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